ヒアリの毒の強さや成分、種類、構造などについてまとめておきます。
まず、ヒアリはハチ目スズメバチ上科アリ科に属しており、スズメバチに似た毒を有しています。
ヒアリの毒の成分は、9割以上をアルカロイド系のソレノプシンが占めています。
アルカロイドは、通常は植物毒の主成分であり、動物が保有しているのは珍しいです。
なお、ソレノプシンのアルカロイド成分は合計12種類です。
実は、ヒアリの原産地より侵入地の方が毒の種類は多く、原産地では4~5種類しかありません。
しかし、侵入地では合計12種類であり、原産地の倍以上あります。
これは侵入地で遺伝的に異なるアリ同士が交配したことにより、毒のタイプも多様になったと考えられています。
なお、ヒアリの毒のラットを使った急性毒性試験では、致死量が0.36mg/kgと見積もられています。
働きアリの一刺しは、約0.7nlほどの毒素しか含んでいないので、ヒアリに数回刺されたからといって直ちにアルカロイドの毒で死に至る可能性は低いです。
しかし、ヒアリの毒にはアルカロイドだけでなく、40以上のタンパク質が微量ながら含まれており、これらのタンパク質がアナフィラキシーショックを起こすと考えられています。
通常、ヒアリに刺されると火傷のような激痛や痒みを生じますが、重篤な症状は現れません。
ただし、刺された人の0.6~6%は、アナフィラキシーショックを起こし、めまい、頭痛、胸痛、吐き気、発汗、低血圧、呼吸困難、ろれつが回らない、顔面蒼白、痙攣などの症状が起こり、放置すると命の危険があります。
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