マイナンバー制度のデメリットとメリットについてまとめておきます。

マイナンバー制度のデメリット

マイナンバー制度では、以下の9つのポイントがデメリットとして挙げられます。

  1. 本人確認に手間がかかる
  2. 通知カードをなくした場合の手続きが面倒
  3. マイナンバーを持っていないことによる偏見や差別
  4. プライバシーの問題が生じる
  5. 番号が漏洩した場合に流用され続ける
  6. 番号を盗み出して悪用される
  7. 想定外の悪用が起きる
  8. ハッカーにより情報が盗み出される
  9. 自分の知らないところで悪用される

これらの問題点については、すでにしっかりと対策が施されているものもありますし、現段階では解決していないものもあります。

そこで、以下にて一つずつ詳細に説明していきます。

1.本人確認に手間がかかる

マイナンバー制度では、個人番号(マイナンバー)が記載された書類を提出する際には、その都度、本人確認を受けることとなります。これは、他人になりすまして番号を盗用した人物が、そのマイナンバー情報を悪用することを防ぐためです。

そのため、会社に自分の番号を申告する書類を提供する際には、会社から本人確認を受けることとなります。そして、マイナンバー制度の本人確認では、「身元確認」と「番号確認」の2種類のチェックが必要となり、やや手間がかかることが予想されます。

例えば、銀行の預金口座を開設する際には、身分証明証(免許証など)の提示が必要となります。これは、犯罪収益移転防止法という法律があるため、金融機関が身元確認を行う必要があるからです。

マイナンバー制度では、この身元確認に加えて、番号確認も行う必要があります。つまり、会社への申告書類に記載されている番号(マイナンバー)が本当に正確なものなのか確認するという作業です。

これには、申告書類に書かれた番号と、その人番号を証明する公的書類、たとえば通知カードを突合してチェックを行います。ここで、両者の番号が一致していれば、身元確認と番号確認が正しく行われたこととなり、本人確認が完了します。

つまり、マイナンバー制度における本人確認は、銀行の預金口座開設よりも手間がかかるのです。そして、このマイナンバーの本人確認作業は、会社の経理部門だけでなく、現場の担当者である”あなた”にも関係してくるのです。

というのも、マイナンバーの本人確認は、特定個人情報の取り扱い規定に定められている人物であれば、誰でも行うことが可能だからです。つまり、マイナンバーの本人確認作業を現場の担当者に委ねる企業も出てくることが予想されるので、あなた自身も他人のマイナンバー情報が記載された書類を扱う機会が発生するでしょう。

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2.通知カードをなくした場合の手続きが面倒

 

2015年10月から、マイナンバーが記載された通知カードの配布がスタートしていますが、このカードは絶対になくさないよう注意してください。通知カードは、原則として、日本に在住する全ての人の手元に届くはずであり、自分の番号を証明する公的書類となります。

そして、この通知カードは、年金、税金、社会保険などの手続きを行う際に必要となるので、勤め先の会社やパート先などにも申告する大事な書類なのです。仮に、通知カードをなくした場合には、これらの手続きを行う際に本人確認ができなくなるので、通知カードを再発行してもらわなければなりません。

そして、この通知カードの再発行が面倒であり、本人が住まいの市町村の窓口に出向いて、手続き行う必要があり、時間もかかりますし、有料の手続きになると言われています。

そのため、通知カードは絶対になくさないよう注意してください。

3.マイナンバーを持っていないことによる偏見や差別

マイナンバー制度では、日本に在住する人には、国籍問わずマイナンバーが割り与えられます。そのため、マイナンバーを持っていないというのは、原則としてありえないのです。

しかし、旅行者や不法就労している外国人は住民登録していないので、マイナンバーを与えられません。つまり、マイナンバーを持っていないということは、何らかの後ろめたい事情があるのではないかと勘ぐられ、偏見や差別を受ける可能性が出てきます。

ただし、やむを得ない事情でマイナンバーを保有できない人もいます。例えば、DV被害者などは、住所情報をできる限り他人に渡したくないと考えており、これまでは住所を明かさないことで身を守ってきた人もいるはずです。

マイナンバーが導入されることで、自分の住所情報が明らかになってしまうと、加害者から二次被害を受ける可能性を否定できません。このような人は、住民票の登録が行えないので、マイナンバーの指定を受けられなくなる恐れがあります。

4.プライバシーの問題が生じる

マイナンバー制度は、2016年1月から本格的に利用が開始され、まずは社会保障や税の分野に適用されることが決まっています。そして、以降は医療の分野にも利用される可能性が高いと言われていますが、プライバシーの問題が懸念されています。

医療の分野にマイナンバーが適用されると、自分の病歴を悪意のある他人に知られてしまう恐れがあり、それによって偏見や差別を受けたり、不利益を被る可能性を否定できないからです。例えば、個人の病歴を保険会社が入手して、保険申込の際の審査に利用するといった事案も発生することでしょう。

また、就職・転職希望者の病歴を企業が入手して、採用可否の判断に使うといったことが、マイナンバーを利用することで容易に行える恐れがあります。そのため、マイナンバーの医療分野への適用は、プライバシーへの影響が少ない分野から利用されると考えられます。

例えば、予防接種や健康診断の情報などが、それに当たります。

5.番号が漏洩した場合に流用され続ける

自分のマイナンバーがネットなどに流出した場合、それがずっと悪用され続けるのではないかという懸念があります。そのため、盗難、紛失、スキミング被害などに遭った場合は、市区町村に申し出ることで、マイナンバーを変更することが可能です。

この場合、新しい番号が割り当てられ、古い番号を無効にすることとなります。

つまり、仮にあなたのマイナンバーが盗まれてしまったとしても、新しい番号に変更してしまえば、古い番号は使えなくなるので、マイナンバーが流用され続ける危険はありません。

6.番号を盗み出して悪用される

マイナンバー制度がスタートすれば、他人の番号を密かに盗み出して悪用する人間が出てくるのではと心配されています。そのため、日本のマイナンバー制度には、独自の厳しい安全管理のルールと重い罰則が設けられています。

日本では、マイナンバーを厳格に管理するために、「特定個人情報保護委員会」という専門の機関が準備されており、罰則も懲役刑を含むものとなっています。例えば、他人のマイナンバーを漏洩するなどして悪用した場合、その者には懲役刑(重いもので懲役4年)が科されることとなります。

このような重い刑罰が、悪用を考える犯罪者の抑止力になると考えられています。

7.想定外の悪用が起きる

マイナンバー制度については、想定外の悪用により、個人情報が流出する懸念があると叫ばれています。そのため、社会保障や税のように悪用される危険性の低い分野から適用され、様子を見ながら、徐々に利用範囲が拡大される予定です。

例えば、あなたになりすました犯罪者が、勝手に税金を納めるといったことは考えにくいのです。

8.ハッカーにより情報が盗み出される

ハッカーによるマイナンバー情報の大量流出については、一度に大量の番号情報を持ち出せないような仕組みが設けられています。マイナンバーに関わる情報は分散管理されており、法律でも「1カ所ですべてのマイナンバー情報を一括管理してはいけない」と規定されています。

つまり、ハッカーが情報を盗み出そうとしても、一度に大量の情報を抜き出すことが困難なため、被害を最小限に食い止めるように工夫されています。

9.自分の知らないところで悪用される

マイナンバー制度で最も恐ろしいのは、自分が気づかないうちに、マイナンバー情報が流出し、悪用されてしまうというケースです。また、SNSでは、行政機関の担当者がこっそりマイナンバー情報を盗み出してしまうのではないかと危惧する意見も見受けられます。

このような問題に対応するため、マイナンバー制度には「情報提供等記録開示システム(マイナポータル)」と呼ばれるシステムが組み込まれています。これは、自分のマイナンバー情報がどのように使われているのかを自分で確認できるという仕組みです。

つまり、このマイナポータルを利用すれば、行政機関がマイナンバーの情報をいつ、どのようにやり取りしたのかは一目瞭然となります。マイナポータルにより、自分の知らないところでマイナンバー情報が不正に取り扱われるリスクは確実に低減されています。

続いて、マイナンバー制度のメリットを紹介します。

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マイナンバー制度のメリット

マイナンバー制度では、以下のようなメリットがあると考えられます。

  1. 個人情報漏洩のリスクが低減する
  2. “本当に困っている人”に支援を提供できる
  3. オレオレ詐欺や架空請求詐欺などが減る
  4. 役所窓口での煩わしい手続きが解消される

では、順番に説明していきます。

1.個人情報漏洩のリスクが低減する

マイナンバー制度では、以下のような仕組みが確立しているため、マイナンバーは名前や住所などの情報よりも安全なのです。

  • 特定個人情報保護委員会がマイナンバーの運用を監視、監督している
  • マイナンバー情報は分散管理され、漏洩リスクが低い
  • マイナンバー情報を漏洩した個人と企業に重い罰則
  • 番号が漏洩した場合には、番号変更が可能
  • 自分の個人情報の利用状況が見える化されている

これまでは、個人の様々な情報を全部まとめて一元管理していましたが、マイナンバー制度では、分散管理することにより、マイナンバーですべての個人情報が引き出せないよう工夫されています。また、マイナンバー情報を漏洩させたり、悪用した者には最高で4年の懲役刑が科され、その者が所属する会社も処罰の対象となります。

つまり、これまで以上に企業における個人情報管理が厳しくなることが予想されるため、担当者による情報流出のリスクは低くなると考えられています。そして、万が一、マイナンバー情報が流出してしまったとしても、市区町村に申し出ることで番号を変更することが可能であり、以降は情報を盗み出せなくなります。

そして、マイナンバー制度には、マイナポータル機能があるので、自分の個人情報の利用状況をいつでもチェックできるため、不正利用にいち早く気付き、対応できるのです。

2.”本当に困っている人”に支援を提供できる

そもそも、マイナンバー制度の狙いは、真っ当に生活している人々の暮らしを便利で豊かにし、困っている人の状況を正確に把握して、必要な支援を迅速に提供できるようにすることが目的です。そのため、生活保護の不正受給、隠し口座による税金逃れなど、不正を働いて資産を積み上げてきた人にとっては厳しい仕組みとなっています。

例えば、マイナンバー制度は社会保障と税の分野に適用されることがすでに決まっており、今後は年金・雇用保険・生活保護の給付、医療保険の保険料徴収、確定申告書などにマイナンバーが利用されるため、これまでのような不正受給や税のごまかしなどは通用しません。

また、金融商品にマイナンバーが紐付けされることで、その人の資産状況を把握することができるため、低収入で巨額の金融資産を保有している人は、窮地に陥った際に自助しなければなりません。

このように、マイナンバー制度がスタートすることで、社会保障の無駄が減り、限られた財源の中で、本当に手を差し伸べなければならない人に支援が回るようになるのです。

3.オレオレ詐欺や架空請求詐欺などが減る

現在、国内の預貯金口座数は、10億口座を超えており、人口が1億2700万人なので、一人あたり10口座近く保有している計算になります。しかし、日常生活で利用している口座は1,2口座であり、実質的には非稼働の口座が大量にあると言われています。

あなたの自宅にも、引っ越しなどで使わなくなった地方銀行のキャッシュカードなどが複数あるはずです。そして、このような非稼働の口座を不正に入手して、犯罪に利用する例が年々増加しており、オレオレ詐欺、架空請求詐欺、特殊詐欺などがこれに該当します。

そして、これらの詐欺を防止するためには、口座の不正入手を阻止することが有効と言えます。マイナンバー制度が金融分野に適用され、マイナンバーと預金口座がひも付けされることで、口座の名寄せが行われ、本当の預金者が特定されます。

すると、非稼働の預金口座を不正に入手することが困難となるため、不正な金融取引を抑止すると期待されています。

4.役所窓口での煩わしい手続きが解消される

マイナンバー制度は、社会保障や税などの行政分野から利用開始されるため、これまでのような役所の窓口での煩わしい手続きが解消されると予想されます。例えば、引っ越し、出生、家族の死去などのライフイベントでは、市区町村の役所で各種手続きが必要となります。

引っ越しする場合、役所での転出届や転入手続きに加えて、人によっては国民健康保険、国民年金の加入、印鑑登録なども必要となります。さらに、警察署での免許証の住所変更、陸運支局での自動車の登録変更なども行わなければなりません。

また、金融機関への届け出、電気・ガス・水道の使用停止及び利用開始の手続き、電話やインターネットプロバイダなどへの住所変更の申請など民間での手続きも多岐にわたります。

マイナンバーが導入されれば、誰もが経験するライフイベントにおいて、各種の手続きが連携されるとともに、簡略化や自動化が進み、一括管理も行えるようになるため、手続きによる負担が大幅に軽減されると考えられます。

いずれは、官民の様々な手続きがオンラインで一括化され、様々なサービスや手続きを好きな場所、好きな時間に行えるようになるでしょう。すでに、コンビニで、住民票の写し、印鑑登録証明書、戸籍全部事項証明書、課税証明書、納税証明書などを取得できるサービスも登場しており、将来的には必要な公的書類をコンビニですべて入手できるようになるはずです。

まとめ

マイナンバー制度には、以下のようなデメリットがあります。

  1. 本人確認に手間がかかる
  2. 通知カードをなくした場合の手続きが面倒
  3. マイナンバーを持っていないことによる偏見や差別
  4. プライバシーの問題が生じる
  5. 番号が漏洩した場合に流用され続ける
  6. 番号を盗み出して悪用される
  7. 想定外の悪用が起きる
  8. ハッカーにより情報が盗み出される
  9. 自分の知らないところで悪用される

1と2については、マイナンバーの導入にあたっては避けては通れない課題と言えます。ただし、番号の漏洩や悪用などの問題については、厳しい罰則や厳格な取り扱いルールが設定されているので、これまでよりも個人情報が流出するリスクは低いと言えます。

一方で、マイナンバー制度には、以下のようなメリットも存在します。

  1. 個人情報漏洩のリスクが低減する
  2. “本当に困っている人”に支援を提供できる
  3. オレオレ詐欺や架空請求詐欺などが減る
  4. 役所窓口での煩わしい手続きが解消される

マイナンバー制度は、普通に生活している人々の暮らしを便利なものとし、本当に困っている人の状況を正確に把握して、必要な支援を迅速に提供できるようにすることが目的です。つまり、社会のルールを守り、真っ当に生活している人にとっては、大変有益な制度となるでしょう。

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